「アイデンティティ」の拠り所-概念との距離を再調整してみる
前回、『ITの世界での「アイデンティティ」、リアルでの「アイデンティティ」』ということで、「アイデンティティ」という概念がITの世界とリアルの世界とでどのように扱われているのか、その違いについて書きました。
ITの世界での「アイデンティティ」、リアルでの「アイデンティティ」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/ad2f1ca3-dc59-47cf-95fd-e755ba3def5a/
今日は、ITの世界から離れて、リアルでの「アイデンティ」の話をもう少し掘り下げてみます。
リアルの世界での「アイデンティ」には、以下の2つのニュアンスがあります。
・私はほかの誰でもなく私である
・私は○○という集団の一員である
前者のような「私はほかの誰でもなく私である」という認識は間違いなくアイデンティに関わるものですが、同時に、後者のような帰属意識のこともアイデンティティと言います。
「日本人としてのアイデンティティ」と言ったりしますね。
こうして見てみると、リアルの世界での「アイデンティティ」という言葉の機能は実に曖昧です。
「私はほかの誰でもなく私である」というときは、他者との境界を引いて自己認識を強めます。
一方、「私は○○という集団の一員である」というときは、他者との境界をとりはらって自己認識を曖昧にします。
「集団に同化する」とも言えます。
「国」、「地域」、「一族」、「○○ちゃんのお母さん」といった来歴・家族歴につながる切り離し難いものだけでなく、所属する会社等も同意/同化の対象です。
もうちょっと書くと、これらの集団を象徴する「記号」のようなものがあって、それに対して人は反応しています。
このことについては、前々回のメルマガで書いたとおりです。
記号の力:私たちが無意識に受け入れる「アイデンティティの象徴」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/cf9e2ef4-3ee7-4203-a914-64b2281a91a9/
ところで、この前々回のメールマガジンの最後で、このような記号を見出して距離感を自由に調整できるようになるためのワークを紹介しました。
今回は、そのワークへのフィードバックをひとつご紹介します。
とても興味深いフィードバックです。
>早田 さん からのフィードバック:
>非常に哲学的なワークですね
>確かに世の中のすべての物事は名前が付けられると同時に分離(概念化)が始まります
>ということは分離する前(概念化される前)の世界があるわけですが、私たちはどうやってもこの分離する前の世界を「頭で」理解することはできません
>理解できたとするとそれは概念化された後であり本当の姿ではなくなっています
>なので私たちが真実を見るには言葉を覚える前の赤ちゃんのように思考を抜きにして見るしかないのですが、頭でやろうとしても失敗するので直接の経験に注意を向けるとその状態に近づくのかなと思ってます
>
>そもそも概念(思考とも言いますね)って何なんでしょう?
>仮に「パン」という思考でお腹を満たせるかと言われたら満たすことはできない
>思考の性質(色、形、臭い、味、触感)を考えてみても何もない、何もないのにあるように見える
>あるように見えるけどどこに位置しているのか答えることができないし、どこから現れてどこに消えていくのか答えることができない
>そしてその思考が本当に”自分の”思考なのか証明もできない、仮に自分がその思考を選んだとしていつ選んだかも答えることができない
>私たちは思考はあるという強力な前提条件に縛られていますが、もしかしたら思考なんてないのかもしれない
>一度も見たことも聞いたことも触ったこともないのになぜ思考はあるという前提になっているのでしょう?
>そう考えると思考をコントロールしようとしたり執着することがいかに私たちを消耗させるかわかる気がします
>そうなるとこれって「自分」という思考にも当てはまりますね・・・
>果たして「自分」って本当に存在するのだろうか・・・
>考えてもネズミの周り車と同じで答えはでませんが 笑
>
>概念に先立つ世界、そこに本当の自由がありそうな気がしています
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/cf9e2ef4-3ee7-4203-a914-64b2281a91a9/#cid56
とても興味深いフィードバック、ありがとうございます。
僕からの返信もあるのですが、それについては、次回紹介したいと思います。
すぐにそれを書くよりも、いただいたこのフィードバックに含まれているニュアンスのようなものを感じとっていただくことのほうが重要と感じます。
ITの世界での「アイデンティティ」、リアルでの「アイデンティティ」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/ad2f1ca3-dc59-47cf-95fd-e755ba3def5a/
今日は、ITの世界から離れて、リアルでの「アイデンティ」の話をもう少し掘り下げてみます。
リアルの世界での「アイデンティ」には、以下の2つのニュアンスがあります。
・私はほかの誰でもなく私である
・私は○○という集団の一員である
前者のような「私はほかの誰でもなく私である」という認識は間違いなくアイデンティに関わるものですが、同時に、後者のような帰属意識のこともアイデンティティと言います。
「日本人としてのアイデンティティ」と言ったりしますね。
こうして見てみると、リアルの世界での「アイデンティティ」という言葉の機能は実に曖昧です。
「私はほかの誰でもなく私である」というときは、他者との境界を引いて自己認識を強めます。
一方、「私は○○という集団の一員である」というときは、他者との境界をとりはらって自己認識を曖昧にします。
「集団に同化する」とも言えます。
「国」、「地域」、「一族」、「○○ちゃんのお母さん」といった来歴・家族歴につながる切り離し難いものだけでなく、所属する会社等も同意/同化の対象です。
もうちょっと書くと、これらの集団を象徴する「記号」のようなものがあって、それに対して人は反応しています。
このことについては、前々回のメルマガで書いたとおりです。
記号の力:私たちが無意識に受け入れる「アイデンティティの象徴」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/cf9e2ef4-3ee7-4203-a914-64b2281a91a9/
ところで、この前々回のメールマガジンの最後で、このような記号を見出して距離感を自由に調整できるようになるためのワークを紹介しました。
今回は、そのワークへのフィードバックをひとつご紹介します。
とても興味深いフィードバックです。
>早田 さん からのフィードバック:
>非常に哲学的なワークですね
>確かに世の中のすべての物事は名前が付けられると同時に分離(概念化)が始まります
>ということは分離する前(概念化される前)の世界があるわけですが、私たちはどうやってもこの分離する前の世界を「頭で」理解することはできません
>理解できたとするとそれは概念化された後であり本当の姿ではなくなっています
>なので私たちが真実を見るには言葉を覚える前の赤ちゃんのように思考を抜きにして見るしかないのですが、頭でやろうとしても失敗するので直接の経験に注意を向けるとその状態に近づくのかなと思ってます
>
>そもそも概念(思考とも言いますね)って何なんでしょう?
>仮に「パン」という思考でお腹を満たせるかと言われたら満たすことはできない
>思考の性質(色、形、臭い、味、触感)を考えてみても何もない、何もないのにあるように見える
>あるように見えるけどどこに位置しているのか答えることができないし、どこから現れてどこに消えていくのか答えることができない
>そしてその思考が本当に”自分の”思考なのか証明もできない、仮に自分がその思考を選んだとしていつ選んだかも答えることができない
>私たちは思考はあるという強力な前提条件に縛られていますが、もしかしたら思考なんてないのかもしれない
>一度も見たことも聞いたことも触ったこともないのになぜ思考はあるという前提になっているのでしょう?
>そう考えると思考をコントロールしようとしたり執着することがいかに私たちを消耗させるかわかる気がします
>そうなるとこれって「自分」という思考にも当てはまりますね・・・
>果たして「自分」って本当に存在するのだろうか・・・
>考えてもネズミの周り車と同じで答えはでませんが 笑
>
>概念に先立つ世界、そこに本当の自由がありそうな気がしています
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/cf9e2ef4-3ee7-4203-a914-64b2281a91a9/#cid56
とても興味深いフィードバック、ありがとうございます。
僕からの返信もあるのですが、それについては、次回紹介したいと思います。
すぐにそれを書くよりも、いただいたこのフィードバックに含まれているニュアンスのようなものを感じとっていただくことのほうが重要と感じます。
- ご紹介したフィードバックの中で、どの言葉が気になったでしょうか。
また、どんな概念に奥行きを感じるでしょうか。
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