「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?

今日、機械学習・AIなどの技術やこれらの技術で得られた成果があたり前に仕事でも日常生活でも見られるようになってきました。

特に最近「モデル」という用語をよく見かけるようになりました。
今日は、「モデル」という言葉について説明したいと思います。


IT用語で「モデル」とは、ざっくり言うと、「根本となる世界観」を指します。

今回は、IT技術でも事務職の方にとって比較的身近な「データベース」と「機械学習」の分野でのこれらの言葉の使われ方を見てみます。

イメージしやすいよう、「ノートパソコンのスペック表や新商品についての価格予測」という具体例を使って説明します。


○データベース

データベースの世界で「モデル」というと、ズバリ、データベースの構造を指します。

このメルマガでよく紹介する「DPR」というフレームワークで言うと、「D」の部分です。

「どんな列を持つ表を作れば、ビジネスで必要なデータをもれなく効率よく格納できるか」という見立ては、その業務についての、「表を作る人の、根本となる世界観」です。

たとえばノートパソコン商品の一覧表を作るとします。
ノートパソコンには、使われているCPU、メモリ容量、SSD容量、メーカー、ブランド名、大きさ、画素数、初期インストールされているOS、バッテリー持続時間、重さ、色、...と、様々な属性があります。そして、価格があります。

属性にも、重要と感じられるものもあれば、取るに足らないと感じられるものもあるでしょう。

重要と感じられた属性については、表の列になるはずです。
取るに足らないと感じられた属性については、表にいちいち載せないかもしれません。

この「ノートパソコンにはどんな属性があるだろうか。そして、どの属性については、表に含める必要があるだろうか」という見立てとは、「根本となる世界観」、つまり「モデル」です。


○機械学習

機械学習の世界で「モデル」というと、「世界で起きていることを上手に説明するための数式」のようなものを指します。

機械学習では、すでにあるデータを解析して、その解析結果を元に新商品の価格を予想したりします。

たとえば、「すでにあるデータを元にして考えると、新ノートパソコンの価格は、メモリの容量に3000をかけて、SSDの容量に2000をかけて、バッテリー持続時間に1000をかけて、ブランドごとに固有の数値を足し算するとうまく説明できるぞ。でも、画素数はほとんど無視してよいらしい。」といった具合です。
上で書いた文章を数式にすると、以下のようになるでしょう。

価格 = 3000 x メモリの容量 + 2000 x SSDの容量 + 1000 x バッテリー持続時間 + ブランドごとの数値

この数式は「世界で起きていることを上手に説明するための数式」で、これが、機械学習で言われるところの「モデル」です。
これは、その機械学習が見た、「ノートパソコンのスペックと価格についての世界観」です。

機械学習分野では、「線形回帰モデルを適用する」、「多項式回帰モデルを適用する」、といった具合に、「○○モデルを適用する」といった表現がされることもあります。
これも「どういう世界観を適用すると起きている事情をよりうまく説明できるか」ということについて考え、それを当てはめようとすることです。
この当てはめは、「どんな思いこみをもって、この元データを解釈しようか」という、モデル適用者の世界観の影響を受けます。


「モデル」、すなわち「世界観」は、ビジネス上の意思決定に大きな影響を及ぼします。

データベースを作るとき、「価格決定に重要な影響を及ぼす属性なのに、一覧表の列に含め忘れてしまう」といったことがあるかもしれません。
機械学習でも、「モデルの適用」、つまり「どんな世界観を当てはめようとするか」という思い込みによって、同じ一覧表からでも得られる結果が変わってしまうことがあります。


もっとも、「モデル」の重要性は、ビジネスでの話にとどまりません。
ビジネスに限らず、日常生活でも、人の行動を支配するのは、その人の有する「世界観」、すなわち、IT用語で言うところの「モデル」です。

世界とより上手に接するとは、自分の内側にある世界観、すなわち「世界に対する思い込み」をより実際に即したなものに更新すること、すなわち「メンタルモデル」を更新することとも言えます。
この話については、機会を見てまた書きたいと思います。
  • 「モデル」という言葉のIT分野での適用例としては、ほかに、3DCGを制作するときの「3Dモデリング」、システム構成を表現するための「モデリング言語」といったものが挙げられます。
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