「組織的盲点」、「確認バイアス」、「煮詰め効果」ほか

「所属する組織の文化や経済状況などの環境に慣れてしまい、不都合や異常な状態に鈍感になってしまう」ということは誰にでもあります。

どんな組織に入ったとしても(たとえば、新しい会社に入社したとしても)、最初は「その組織が当然としている風習に違和感を感じる」ということはあるものです。
でも、次第にその風習を当たり前に感じ、あとから新しくその組織に入った人がその風習に違和感を覚えたとしても「ああ、自分も最初はそんな風に感じたな」と少し思い出すくらい。

あるいは、「このままここでこんな仕事を続けていても良いことはないんじゃないか」とか「これを続けていても、転職活動などのタイミングでアピールできるスキルにはならないんじゃないか」と思えるような仕事を、「でも、続けておけば良いこともあるだろう」と自分を納得させて、継続させてしまう。
そんな人を見かけることもあるかと思います。


最近であれば、中古車販売会社のことが話題になっています。

「外から見たら『それはおかしいんじゃないか』と思えるようなことでも、その組織の人にとっては当然とされている」ということは、どんな組織でも多かれ少なかれあります。
そして、どんな組織にいる人でも、その文化の影響を受けています。


こういう状態を総称した言葉は案外見つかりません。
ですが、今回は、このような状況を部分的に表現する言葉をいくつか紹介します。

1. 組織的盲点 (Organizational Blindness):
組織の中での行動や価値観が外部の環境や他の組織と比較して異常であると気づかなくなる状態。

2. 確認バイアス (Confirmation Bias):
すでに持っている信念や考えを強化する情報を受け入れやすく、それに反する情報を無視する傾向。

3. 煮詰め効果 (Boiling Frog Syndrome or Boiled Frog Effect):
徐々に悪化する状況に対して、その変化に気づかずに適応してしまう心理的な現象。
俗に言われる「茹でガエル」現象。

4. 正常化バイアス (Normalization of Deviance):
繰り返し発生する異常な状況が徐々に正常と認識されるようになる現象。
安全基準の逸脱が小さなステップで繰り返されることで、それが次第に「正常」と見なされ、大きなリスクや事故につながることがある。


これらの概念や言葉は、異なる角度から同じような心の働きを説明するものとして、状況や文脈に応じて使い分けることができます。


こういう状態の背後には、誰もが共通に持っている以下の3つの意識があります。
・人は、基本的に、自分はうまくいっていると信じたい
・人は、基本的に、変わりたくない
・人は、基本的に、所属する場でより受け入れられたい

これらの意識は、「場におきている問題はなるべく見ないようにしよう」、「変わらないで済む理由を探そう」という心の動きにつながります。

そして、人は、「場に起きている問題」や「それに対して自分が感じている違和感」といったものに気づかないようにと、半ば無意識に自分自身を調整していきます。

これは、場に起きている問題でもあり、そのような問題を受け入れてしまう個人の側の問題でもあります。


これらのバイアスや心理的効果は、どのようにすれば乗り越えることができるのでしょうか。
個人としてできることは限られていますが、この点について近いうちに書きたいと思います。
  • 「組織的盲点」、「確認バイアス」、「煮詰め効果」、「正常化バイアス」といった言葉について、みなさん自身で Google 検索などを使って調べてみてください。
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