「行」と「列」で世界を表現する - エクセルで今すぐ使える「テーブル」型データベースの考え方
ITの世界でのデータの持ち方には、以下の3つがあります。
1. テーブルで表現するデータベース
2. 構造を表現するデータベース
3. エッジとノードで表現するデータベース
前々回は、3番目の「エッジとノードで表現するデータベース」についてご紹介しました。
前回は、2番目の「構造を表現するデータベース」についてご紹介しました。
「点」と「線」で世界を表現する - グラフ理論「入門」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/2f8fd78c-f5c8-470e-9241-9372e51b3f85/
「キー」と「値」で世界を表現する - 文章作成にすぐに使える、ITの世界での「構造」の表現
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f5634e8c-5d52-4e4f-914c-af4db8dc72b1/
今回は、1番目の、「テーブルで表現するデータベース」についてです。
1つ目の「テーブルで表現するデータベース」とは、ざっくり言うと、エクセルやアクセスでお馴染みの「四角い表」です。
「データベース」と言われて多くの方が思い浮かべるのはこの形です。ある意味、「データベースらしいデータベース」とも言えるでしょう。
改めて、その特徴を述べてみます。
A. 行と列で表現された「四角い表」になっている
B. 列は特徴, 行はデータが追加される方向
C. ID が割り振られている
D. ひとつのセルにはひとつの値
このような条件を満たす表のことを「テーブル」と言います。
...と言われても、多くの方がピンとこないと思います。
これについては、アンチパターン(上記の作法に従っていない例)と比較してみたいと思います。
A. 行と列で表現された「四角い表」になっている
行と列で表現された「四角い表」ではない代表的な例は、「書類」ぽいエクセルファイルです。
政府系の提出資料でよく見かけます。
以下は一例です。最近話題の「リスキリング助成金」の申請書類です。
ぱっとみた瞬間、「四角い表」ではないと分かりますね。
https://forum.pc5bai.com/article/img/anti_square/
B. 列は特徴, 行はデータが追加される方向
「テーブル」では、列は特徴を追加する方向、行はデータが追加される方向です。
逆は良くないです。
「逆」としてやってしまいがちなのは、「10月のデータ」、「11月のデータ」、「12月のデータ」、 ... と、月次情報が増えると、横にどんどん情報が追加されていくパターン。
ピボットテーブルのような、「集計表」としてはありです。
でも、「データベース」としてはこういうやり方はしません。
エクセルのセルはなぜ横長なのか。
エクセルのセルは数字を縦に並べるために横長に設計されているからです。
横に長い数字を「10月のデータ」、「11月のデータ」、「12月のデータ」、 ... と横に並べいったら、横幅をどんどんとってしまいますね。
縦に追加していく分には、コンパクトにおさまります。一覧性も高いです。
C. ID が割り振られている
いちばん左の列は、IDを入力する列としましょう。
「ID」は、データごとに固有の値にします。
なぜか。
IDがあると、データを見つけるのが簡単になるからです。
以下の2つの指示を見比べてみてください。どっちのほうか簡単そうでしょうか。
「ID が K3326 の行のデータを持ってきて」
「2023年11月22日の取引で、取引先が◯◯商会で、商品が缶ビールのやつを持ってきて」
数十行のデータだと困らないのですが、数千行、数万行のデータになったときには、依頼されたほうが泣きます。
ID がないと、VLookup関数のような別のテーブルと結合させた情報を作る関数も使えなくなりますね。
D. ひとつのセルにはひとつの値
ひとつのセルにはひとつの値を入れます。
というか、ひとつのセルに複数の意味を含めません。
金額欄に「35000」と数字だけ書いてある。これはOK。
でも、「35000(クレジットカード)」とか「35000(現金)」とかいうのはダメ。
「支払い方法」という列を用意して、「クレジットカード」とか「現金」とかいう情報はそっちに入れましょう。
セルに色をつけて「赤の太字の場合は未収金」とか、そういうのもだめです。
「回収状況」といったタイトルの列を追加し、そこに情報を記入しましょう。
未収金のものだけ取り出した一覧を作るにしても、そのほうが楽です。
ということで。
今回、「テーブルで表現するデータベース」の特徴として、以下の4つのポイントを挙げました。
A. 行と列で表現された「四角い表」になっている
B. 列は特徴, 行はデータが追加される方向
C. ID が割り振られている
D. ひとつのセルにはひとつの値
ぜひ、普段のエクセル仕事のときに上記のポイントを意識してください。
「データベース」として使いやすいエクセル表を作れるようになると、エクセル仕事は劇的に簡単になります。
以下の無料動画でもきちんと解説しています。参考にしてください。
エクセル仕事を劇的に楽にする「DPRフレームワーク」
https://forum.pc5bai.com/lesson/course/35/
「DPRフレームワーク」の「D」とは、「データベース」のDです。
ITの世界でのデータの持ち方には、以下の3つがあります。
1. テーブルで表現するデータベース
2. 構造を表現するデータベース
3. エッジとノードで表現するデータベース
今回まで3回にわたって、丁寧に見てきました。
いかがでしたでしょうか。
「データベース」とは、IT技術が提案する「世界の見かた」、「モデル」の一種です。
「世界というものは、こういう切り口で見ることができるよ」
「そして、こういう切り口で見ることで、ほかの方法では見えづらい/扱いづらいものが、こんなに簡単に扱えるようになるよ」
と、「モデル」とは、そういう提案とも言えるでしょう。
「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/
日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f2126dae-2da7-491b-83d4-e111ffec1706/
世界に対する視点・見立ての方法をより多く持つことで、同じものからもより多くの気づきを得られるようになります。
また、より発想を柔軟にしてくれます。
1. テーブルで表現するデータベース
2. 構造を表現するデータベース
3. エッジとノードで表現するデータベース
前々回は、3番目の「エッジとノードで表現するデータベース」についてご紹介しました。
前回は、2番目の「構造を表現するデータベース」についてご紹介しました。
「点」と「線」で世界を表現する - グラフ理論「入門」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/2f8fd78c-f5c8-470e-9241-9372e51b3f85/
「キー」と「値」で世界を表現する - 文章作成にすぐに使える、ITの世界での「構造」の表現
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f5634e8c-5d52-4e4f-914c-af4db8dc72b1/
今回は、1番目の、「テーブルで表現するデータベース」についてです。
1つ目の「テーブルで表現するデータベース」とは、ざっくり言うと、エクセルやアクセスでお馴染みの「四角い表」です。
「データベース」と言われて多くの方が思い浮かべるのはこの形です。ある意味、「データベースらしいデータベース」とも言えるでしょう。
改めて、その特徴を述べてみます。
A. 行と列で表現された「四角い表」になっている
B. 列は特徴, 行はデータが追加される方向
C. ID が割り振られている
D. ひとつのセルにはひとつの値
このような条件を満たす表のことを「テーブル」と言います。
...と言われても、多くの方がピンとこないと思います。
これについては、アンチパターン(上記の作法に従っていない例)と比較してみたいと思います。
A. 行と列で表現された「四角い表」になっている
行と列で表現された「四角い表」ではない代表的な例は、「書類」ぽいエクセルファイルです。
政府系の提出資料でよく見かけます。
以下は一例です。最近話題の「リスキリング助成金」の申請書類です。
ぱっとみた瞬間、「四角い表」ではないと分かりますね。
https://forum.pc5bai.com/article/img/anti_square/
B. 列は特徴, 行はデータが追加される方向
「テーブル」では、列は特徴を追加する方向、行はデータが追加される方向です。
逆は良くないです。
「逆」としてやってしまいがちなのは、「10月のデータ」、「11月のデータ」、「12月のデータ」、 ... と、月次情報が増えると、横にどんどん情報が追加されていくパターン。
ピボットテーブルのような、「集計表」としてはありです。
でも、「データベース」としてはこういうやり方はしません。
エクセルのセルはなぜ横長なのか。
エクセルのセルは数字を縦に並べるために横長に設計されているからです。
横に長い数字を「10月のデータ」、「11月のデータ」、「12月のデータ」、 ... と横に並べいったら、横幅をどんどんとってしまいますね。
縦に追加していく分には、コンパクトにおさまります。一覧性も高いです。
C. ID が割り振られている
いちばん左の列は、IDを入力する列としましょう。
「ID」は、データごとに固有の値にします。
なぜか。
IDがあると、データを見つけるのが簡単になるからです。
以下の2つの指示を見比べてみてください。どっちのほうか簡単そうでしょうか。
「ID が K3326 の行のデータを持ってきて」
「2023年11月22日の取引で、取引先が◯◯商会で、商品が缶ビールのやつを持ってきて」
数十行のデータだと困らないのですが、数千行、数万行のデータになったときには、依頼されたほうが泣きます。
ID がないと、VLookup関数のような別のテーブルと結合させた情報を作る関数も使えなくなりますね。
D. ひとつのセルにはひとつの値
ひとつのセルにはひとつの値を入れます。
というか、ひとつのセルに複数の意味を含めません。
金額欄に「35000」と数字だけ書いてある。これはOK。
でも、「35000(クレジットカード)」とか「35000(現金)」とかいうのはダメ。
「支払い方法」という列を用意して、「クレジットカード」とか「現金」とかいう情報はそっちに入れましょう。
セルに色をつけて「赤の太字の場合は未収金」とか、そういうのもだめです。
「回収状況」といったタイトルの列を追加し、そこに情報を記入しましょう。
未収金のものだけ取り出した一覧を作るにしても、そのほうが楽です。
ということで。
今回、「テーブルで表現するデータベース」の特徴として、以下の4つのポイントを挙げました。
A. 行と列で表現された「四角い表」になっている
B. 列は特徴, 行はデータが追加される方向
C. ID が割り振られている
D. ひとつのセルにはひとつの値
ぜひ、普段のエクセル仕事のときに上記のポイントを意識してください。
「データベース」として使いやすいエクセル表を作れるようになると、エクセル仕事は劇的に簡単になります。
以下の無料動画でもきちんと解説しています。参考にしてください。
エクセル仕事を劇的に楽にする「DPRフレームワーク」
https://forum.pc5bai.com/lesson/course/35/
「DPRフレームワーク」の「D」とは、「データベース」のDです。
ITの世界でのデータの持ち方には、以下の3つがあります。
1. テーブルで表現するデータベース
2. 構造を表現するデータベース
3. エッジとノードで表現するデータベース
今回まで3回にわたって、丁寧に見てきました。
いかがでしたでしょうか。
「データベース」とは、IT技術が提案する「世界の見かた」、「モデル」の一種です。
「世界というものは、こういう切り口で見ることができるよ」
「そして、こういう切り口で見ることで、ほかの方法では見えづらい/扱いづらいものが、こんなに簡単に扱えるようになるよ」
と、「モデル」とは、そういう提案とも言えるでしょう。
「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/
日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f2126dae-2da7-491b-83d4-e111ffec1706/
世界に対する視点・見立ての方法をより多く持つことで、同じものからもより多くの気づきを得られるようになります。
また、より発想を柔軟にしてくれます。
- 1. テーブルで表現するデータベース
2. 構造を表現するデータベース
3. エッジとノードで表現するデータベース
あなたが日常見かけるもの、仕事でかかわっているものから、これらの3つのパターンで表現できそうなものをひとつずつ挙げてみてください。
そして、頭の中でざっくりとよいので、そのデータベースの形と中身を思い浮かべてみてください。
もしも「どれが適当か分からない」、「どういう形になるのかが思い浮かばない」と思えるものがあったら、以下のコメント欄からお知らせください。
いっしょに考えましょう (^^
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/9bb08abc-4834-4623-9959-e141a2e1c82d/
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「世界というものは、こういう切り口で見ることができるよ」
「そして、こういう切り口で見ることで、ほかの方法では見えづらい/扱いづらいものが、こんなに簡単に扱えるようになるよ」
と、「モデル」とは、そういう提案とも言えるでしょう。
「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/
日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f2126dae-2da7-491b-83d4-e111ffec1706/
エクセル仕事を劇的に楽にする「DPRフレームワーク」
https://forum.pc5bai.com/lesson/course/35/
「データベース」とは、IT技術が提案する「世界の見かた」、「モデル」の一種です。
「世界というものは、こういう切り口で見ることができるよ」
「そして、こういう切り口で見ることで、ほかの方法では見えづらい/扱いづらいものが、こんなに簡単に扱えるようになるよ」
と、「モデル」とは、そういう提案とも言えるでしょう。
「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/
日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f2126dae-2da7-491b-83d4-e111ffec1706/
エクセル仕事を劇的に楽にする「DPRフレームワーク」
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