日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観

前回、『「モデル」って言葉をよく見かけるけど、それって何?』ということで、IT用語としての「モデル」という概念について紹介しました。

「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/

復習のためにさらっと書くと、「モデル」とは、「根本となる世界観」のことです。

たとえば、データベースとは、「こういう情報を蓄積すれば、業務としてはだいだい十分じゃないか」という、データに対する「根本となる世界観」を顕すものです。

あるいは、機械学習で言う「モデル」とは、「こういう見立てで説明すれば、今起きていることについて上手に説明できるのではないか」という「世界観」を顕すものです。


前回も軽く紹介しましたが、「メンタルモデル」という言葉もあります。
これは心理学用語で、人がその内側に有している世界観のことです。

実際に顕れる行動レベルで問題が起きているとき、その人の「根本となる世界観」が原因となっているということはよくあります。

たとえば、あがり症の人であれば、「失敗するととんでもないことになる」と(無意識レベルで)思い込んでいたり、あるいは、「(実際以上に)他者が自分に対して関心を持っている」と(無意識レベルで)思い込んでいたりすることがあります。
あるいは、「人前に出たら、ささいな失敗でもしてはならない」と(無意識レベルで)思い込んでいたりすることがあります。

必要以上に被害者意識が強い人であれば、その背後には、「自分は常に他者から不利益を受ける立場にある」というメンタルモデルが存在しているかもしれません。


ほか、「モデル」という言葉を含むものとして、たとえば「プラモデル」や「ファッションモデル」といったものもあります。
これらの例はより具体的で、この文章を読んでいるあなたにとっても馴染み深いかもしれません。

「プラモデル」は、現実の、あるいは空想上の生物や機械などを「こういう見立てで説明できる」と、縮尺を変えて表現するものです。
たいていは大きなものを小さくして表現しますが、「白血球の模型」のような、小さいものを大きくして表現するものもあります。

「ファッションモデル」は、服や装飾品のデザインとそれらを組み合わせたコーディネートという形でファッションデザイナーの有する世界観を表現するものです。


自動車のバージョニングに、「○○年モデル」といったものもあります。

これは、車が持つ特定のデザインや機能、その発売された特定の年を示しています。
この「モデル」は、その年の技術的進歩や社会のニーズ、トレンドを反映したものと言えるでしょう。
したがって、これもある種の「世界観」を持ったモデルと解釈できます。

「1987年モデル」とか言われると、今の時代の人たちは、「古臭いな」と感じてしまいます。

しかし、「2024年最新モデル」だと、どうでしょう。
「今のオレたちの世界観・価値観を詰め込んだ、最高のものをぶつけてやるぜ!」という気合を感じるのは僕だけでしょうか。

きっと、そのロングラン製品の「1987年モデル」が発表されたときも、その当時の技術者は同じような気持ちだったはずです。


「モデル」という言葉の多様な用例を見てきました。
それでは、この言葉の基本的な定義を、英語と日本語の両方で確認してみましょう。

以下は、英語での「Model」の定義です。
Oxford Languages から。

1. a three-dimensional representation of a person or thing or of a proposed structure, typically on a smaller scale than the original.
2. a thing used as an example to follow or imitate.
3. a simplified description, especially a mathematical one, of a system or process to assist calculations and predictions.
4. a person employed to display clothes by wearing them.
5. a particular design or version of a product.


日本語に訳すと、以下のとおり。

1. 元のものよりも小さな規模での、人や物、または提案される構造の三次元的な表現。
2. 従うまたは模倣するための事例として使用されるもの。
3. 計算や予測を支援するための、特に数学的な、システムやプロセスの簡略化された説明。
4. 服を着てそれを表示するために雇われる人。
5. 製品の特定のデザインまたはバージョン。


様々な具体例について見たうえでこうして定義を読むと、また理解が深まるのではないでしょうか。


言葉の有する概念を理解するというのは、とても大切なことです。

抽象概念を示す言葉が自分のものになると、その言葉を使う新しい概念に出会ったときにも、「ああ、あの話の延長か」と捉えることができ、理解のとっかかりになります。

また、その新しい実装についても、「あの概念のこういう方向での実装例なのか」という形で把握できれば、あなたの持つ知の体系にしっかり組み込むことができます。

これは、あなたの「メンタルモデル」、すなわち「世界との関わりの地図」を更新するということでもあります。
  • あなたにとって「モデル」とは、どういう意味の言葉でしょうか。
    前回-今回の紹介事例等を踏まえて、あなた自身の言葉で説明してみてください。

    こういう試みは、よい復習になります。また、あなた自身の有する知の体系を強化してくれます。
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前回記事

「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/


定義とは、記号化です。記号化自体、概念を「モデル」として表現するようなものです。

「言葉によるラベリング」と「記号化」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/9b392ebe-9461-452b-851b-c3db78781542/


言葉の定義を扱った以下の記事もあります。
参考にしてください。

「拡張現実(AR: Augmented Reality)」の "Augmented" て、何よ?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/52f08aa5-2d8d-4685-818c-d050761b44d7/

「拡張現実」というより「増加現実」?輸入された概念への訳語のあてられ方について考えてみる
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f3b1f5b9-68f2-405d-b5d8-9c0ff50e695e/

なぜか言語によって異なる「リアリティ」の定義: 英語の reality と日本語の「リアリティ」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/9821daf1-46a2-4e64-8bab-ef79f20ef2ee/

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