情報技術が提供する「リアリティ」を分類してみる
ここ数回にわたって、「リアリティ」とは何か、「Virtual Reality (VR)」、「Augmented Reality (AR)」とは何かといったことについて書いてきました。
今回は、もう一歩引いて、情報技術が提供する「リアリティ」を分類してみます。
結論から書くと、これを大別するならば、まずは以下のとおりです。
◯恣意的な情報提供
◯恣意的でない情報提供
そして、この2つをもう少し細かく分類すると、以下のとおりです。
◯恣意的な情報提供
・要約
・推測
◯恣意的でない情報提供
・創造
・要約:
全体の一部を示します。
政府の出す統計などがこれに当たります。
ほかの例としては、飲食店評価サイトや物販サイトでのレビューアーが店なり商品なりにつけた星の数の平均値など。
あるいは、店で提供された料理の写真や、商品のパッケージの写真などもこれに相当します。
人は、「評価の平均値」や「写真」等形をとった「要約」という断片的な情報を受け取り、その店なり商品なりについての「リアリティ」を脳内に想起します。
・推測:
断片的な情報から想起された全体についての想像を伝えます。
ちょうど、昨日の朝、「とある昆虫の、奈良時代の化石が見つかった」ということニュースをネットニュースで見かけました。身体の一部が化石化されたものが見つかったということで、発見されたその化石も映像として流れました。
人は、昆虫の身体の一部から全体を想像し、それが奈良時代のものであったと想像し、そして「江戸時代に来たとされていたその昆虫が奈良時代にもいた」というニュースになりました。
このニュースの情報は、複数の推測から成り立っています。
要約より積極的に「この情報から、こういう思い込みを持ってほしい」という意図を持って伝えられるのが推測です。
推測は、より具体的に「リアリティ」を感じさせるため、より積極的に介入してきます。
・創造
既存の何かについての要約でも推測でもない、自由な創作物です。
数回前のメルマガへのフィードバックに、ARの事例として「ポケモンGO!」を紹介された方がいました。これなどはまさに好例です。
「恣意的な情報提供」の分類として示した「要約」と「推測」は、前回メルマガで紹介した「記述統計」と「推測統計」との関係と類似しています。というか、そのままです。
ここで、「恣意的である」とは、受け手に何らかの思い込みをさせようとしているということです。
「要約」とはすなわち「ミスリードの起点」という内容の配信もしました。
よほどフラットな発信源からのものでない限り、要約とは、情報発信者による「ここをよく見てほしい」という意図による選択があります。また、「ここは見ないでもらったほうが都合が良い」という非選択もあります。
受信者側のリテラシーが低いと、簡単に世界観を誘導されてしまいます。
「要約」とはすなわち「ミスリードの起点」:
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/14ab0c3b-05a6-4308-9b87-cfc629749f5f/
推測も、恣意的です。
推測は、精度が高いものであっても、現代の学問では「正しい」、「正しいであろう」とされていることの積み上げでしかありません。これは、ものすごく雑に言えば、学者たちが「こういう姿で、こういうふるまいをしている(していた)のであろう」と決めつけ、その決めつけを押し付けているということです。
「時代を経て、研究が発展したためにかつて当然とされていた学説は否定された」といった例は多くあります。
たとえば、「ティラノサウルス」は、30年前は、二本足で立ってノスノスと歩いている姿が想像されていました。スピルバーグが「ジュラシック・パーク」を作ったころには、同じ二本足でも、身体をより水平にして俊敏に動く様が描かれています。
最近では、トカゲのような皮膚だったのではなく、鳥のような羽毛が生えていたとされるような復元図もあります。
意見を求められた研究者も、できれば自分の研究者としての権威を貶めないような説明をしたいと思うものです。また、「あの人の権威を貶めてはいけない」と意識的にせよ無意識的にせよ忖度が働き、本当に信じることとは異なる推測を述べるかもしれません。
今回は、もう一歩引いて、情報技術が提供する「リアリティ」を分類してみます。
結論から書くと、これを大別するならば、まずは以下のとおりです。
◯恣意的な情報提供
◯恣意的でない情報提供
そして、この2つをもう少し細かく分類すると、以下のとおりです。
◯恣意的な情報提供
・要約
・推測
◯恣意的でない情報提供
・創造
・要約:
全体の一部を示します。
政府の出す統計などがこれに当たります。
ほかの例としては、飲食店評価サイトや物販サイトでのレビューアーが店なり商品なりにつけた星の数の平均値など。
あるいは、店で提供された料理の写真や、商品のパッケージの写真などもこれに相当します。
人は、「評価の平均値」や「写真」等形をとった「要約」という断片的な情報を受け取り、その店なり商品なりについての「リアリティ」を脳内に想起します。
・推測:
断片的な情報から想起された全体についての想像を伝えます。
ちょうど、昨日の朝、「とある昆虫の、奈良時代の化石が見つかった」ということニュースをネットニュースで見かけました。身体の一部が化石化されたものが見つかったということで、発見されたその化石も映像として流れました。
人は、昆虫の身体の一部から全体を想像し、それが奈良時代のものであったと想像し、そして「江戸時代に来たとされていたその昆虫が奈良時代にもいた」というニュースになりました。
このニュースの情報は、複数の推測から成り立っています。
要約より積極的に「この情報から、こういう思い込みを持ってほしい」という意図を持って伝えられるのが推測です。
推測は、より具体的に「リアリティ」を感じさせるため、より積極的に介入してきます。
・創造
既存の何かについての要約でも推測でもない、自由な創作物です。
数回前のメルマガへのフィードバックに、ARの事例として「ポケモンGO!」を紹介された方がいました。これなどはまさに好例です。
「恣意的な情報提供」の分類として示した「要約」と「推測」は、前回メルマガで紹介した「記述統計」と「推測統計」との関係と類似しています。というか、そのままです。
ここで、「恣意的である」とは、受け手に何らかの思い込みをさせようとしているということです。
「要約」とはすなわち「ミスリードの起点」という内容の配信もしました。
よほどフラットな発信源からのものでない限り、要約とは、情報発信者による「ここをよく見てほしい」という意図による選択があります。また、「ここは見ないでもらったほうが都合が良い」という非選択もあります。
受信者側のリテラシーが低いと、簡単に世界観を誘導されてしまいます。
「要約」とはすなわち「ミスリードの起点」:
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/14ab0c3b-05a6-4308-9b87-cfc629749f5f/
推測も、恣意的です。
推測は、精度が高いものであっても、現代の学問では「正しい」、「正しいであろう」とされていることの積み上げでしかありません。これは、ものすごく雑に言えば、学者たちが「こういう姿で、こういうふるまいをしている(していた)のであろう」と決めつけ、その決めつけを押し付けているということです。
「時代を経て、研究が発展したためにかつて当然とされていた学説は否定された」といった例は多くあります。
たとえば、「ティラノサウルス」は、30年前は、二本足で立ってノスノスと歩いている姿が想像されていました。スピルバーグが「ジュラシック・パーク」を作ったころには、同じ二本足でも、身体をより水平にして俊敏に動く様が描かれています。
最近では、トカゲのような皮膚だったのではなく、鳥のような羽毛が生えていたとされるような復元図もあります。
意見を求められた研究者も、できれば自分の研究者としての権威を貶めないような説明をしたいと思うものです。また、「あの人の権威を貶めてはいけない」と意識的にせよ無意識的にせよ忖度が働き、本当に信じることとは異なる推測を述べるかもしれません。
- ブラウザ履歴を辿ってみて、あるいは読みかけの別のタブを開いてみて、そこにある情報から「要約」、「推測」、「創造」を見いだしてみてください。
これらの複数により構成されているものももちろんあります。
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