メンタルモデル
前々回、前回と、「モデル」という概念について扱ってきました。
「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/90ba645d-a525-4ccf-be1a-91d8a7257be9/
日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/f2126dae-2da7-491b-83d4-e111ffec1706/
前々回は、IT用語としての「モデル」という概念について。
前回は、より一般的に「モデル」という概念について。
でした。
これらの話を通じてお伝えしてきたのは、「モデル」とは、「根本となる世界観」だということでした。
ITの世界でいう「モデル」とは、「データベースの構造」や「機械学習での、世界で起きていることを上手に説明できそうな式」などでした。
より一般的な「モデル」という言葉の使用例として、「プラモデル」や「ファッションモデル」、自動車などの工業製品の「○○年モデル」といった言葉を紹介しました。
「プラモデル」は、現実、あるいは空想上の生物や機械などを「こういう見立てで説明できる」と、縮尺を変えて表現するものです。
たいていは大きなものを小さくして表現しますが、「白血球の模型」のような、小さいものを大きくして表現するものもあります。
「ファッションモデル」は、服や装飾品のデザインとそれらを組み合わせたコーディネートという形でファッションデザイナーの有する世界観を表現するものです。
自動車などの「○○年モデル」といった言葉も、ある種の「世界観」の表現です。
今回は、「メンタルモデル」についてです。
「メンタルモデル」とは、心理学用語で、人がその内側に有している世界観のことです。
人は、現実を解釈して未来の出来事や状況を予測するために、自分の中に「地図」を持っています。
そして、その地図に従って世界を解釈します。
この地図は、過去の経験や学び、遺伝的に受け継がれた気質などがあわさって、人それぞれの中に蓄積されるものです。
以下、メンタルモデルの例をいくつか挙げます。
・ワールドビュー:
人や社会、宇宙に関する包括的な視点や信念。
例えば、宗教的なワールドビューは、世界の起源や人々の行動に対する意味を提供します。
ある人は、特定の宗教を強く信仰していて、その世界観で世界を見ています。
別のある人は、別の宗教を信仰していて、その世界観で世界を見ています。
そのとき、この2人の「根本となる世界観」、つまり「メンタルモデル」は異なります。
同じ自然現象を体験したとしても、そのときこの2人の解釈が違ったとしても不思議はありません。
「地球は丸い」と信じる人と、「地球は平らだ」と信じる人とでは、「東から太陽が上り、西に沈む」という現象を見ても、海岸から水平線を見ても、見たものから得られる確信は異なるでしょう。
参考: 「科学」への信仰:「私が真実とみなすもの」と、「あの人が真実とみなすもの」
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/294795cb-5404-4051-a250-68f65fd4fee6/
・認知バイアス:
人々が情報を処理する際に持つ偏見や先入観。
例えば、「確証バイアス」は、自分の信念や仮説を確認する情報だけを探し、それに反する情報を無視する傾向を指します。
どんな組織や文化的集団にいても、人は、次第にその影響を受け、その集団内で受け入れられやすいような認知のパターンを得るようにと訓練されてしまいます。
「倫理的にありえないと思えるような不祥事を、とある民間企業の社員の多くが起こしていた」といったニュースがときおり出ますが、そういう事件も、その組織にいることで獲得した認知のパターンによるものです。
参考: 「組織的盲点」、「確認バイアス」、「煮詰め効果」ほか
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/98b910e0-e7bc-4123-b1f9-b1417a62725b/
・制限ビリーフ:
人々が自らに対して、または外部の環境や他者に対して持つ制約的な信念。
これは、自らの可能性や機会を制限するものとして作用することが多いです。
例えば、「私には人前でしゃべることなどできない」「その業界は入り込みが難しい」「あの人はきっと私の提案を拒絶するだろう」といった思考がこれに該当します。
制限ビリーフは、過去の失敗や他者からの否定的なフィードバック、社会的なステレオタイプなど、さまざまな要因から形成されることが多いです。
このメールマガジンで都度示している「地図・気づき・選択・手順」というフレームワークで説明するならば、「メンタルモデル」とは、「地図」です。
人は、「世界とはこういうものだという思い込み」という地図に従って、自動的に世界を解釈します。この短絡的な解釈とは、「手順」です。
前々回、前回と今回と、「モデル」という言葉について、様々な角度から掘り下げてみました。
IT用語としての「モデル」も面白いですが、その元となった概念も興味深いですね。
「メンタルモデル」は、ITスキルの学習にも大いに影響します。
次回以降、このテーマに向けて書いていきたいと思っています。
「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
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日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
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前々回は、IT用語としての「モデル」という概念について。
前回は、より一般的に「モデル」という概念について。
でした。
これらの話を通じてお伝えしてきたのは、「モデル」とは、「根本となる世界観」だということでした。
ITの世界でいう「モデル」とは、「データベースの構造」や「機械学習での、世界で起きていることを上手に説明できそうな式」などでした。
より一般的な「モデル」という言葉の使用例として、「プラモデル」や「ファッションモデル」、自動車などの工業製品の「○○年モデル」といった言葉を紹介しました。
「プラモデル」は、現実、あるいは空想上の生物や機械などを「こういう見立てで説明できる」と、縮尺を変えて表現するものです。
たいていは大きなものを小さくして表現しますが、「白血球の模型」のような、小さいものを大きくして表現するものもあります。
「ファッションモデル」は、服や装飾品のデザインとそれらを組み合わせたコーディネートという形でファッションデザイナーの有する世界観を表現するものです。
自動車などの「○○年モデル」といった言葉も、ある種の「世界観」の表現です。
今回は、「メンタルモデル」についてです。
「メンタルモデル」とは、心理学用語で、人がその内側に有している世界観のことです。
人は、現実を解釈して未来の出来事や状況を予測するために、自分の中に「地図」を持っています。
そして、その地図に従って世界を解釈します。
この地図は、過去の経験や学び、遺伝的に受け継がれた気質などがあわさって、人それぞれの中に蓄積されるものです。
以下、メンタルモデルの例をいくつか挙げます。
・ワールドビュー:
人や社会、宇宙に関する包括的な視点や信念。
例えば、宗教的なワールドビューは、世界の起源や人々の行動に対する意味を提供します。
ある人は、特定の宗教を強く信仰していて、その世界観で世界を見ています。
別のある人は、別の宗教を信仰していて、その世界観で世界を見ています。
そのとき、この2人の「根本となる世界観」、つまり「メンタルモデル」は異なります。
同じ自然現象を体験したとしても、そのときこの2人の解釈が違ったとしても不思議はありません。
「地球は丸い」と信じる人と、「地球は平らだ」と信じる人とでは、「東から太陽が上り、西に沈む」という現象を見ても、海岸から水平線を見ても、見たものから得られる確信は異なるでしょう。
参考: 「科学」への信仰:「私が真実とみなすもの」と、「あの人が真実とみなすもの」
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・認知バイアス:
人々が情報を処理する際に持つ偏見や先入観。
例えば、「確証バイアス」は、自分の信念や仮説を確認する情報だけを探し、それに反する情報を無視する傾向を指します。
どんな組織や文化的集団にいても、人は、次第にその影響を受け、その集団内で受け入れられやすいような認知のパターンを得るようにと訓練されてしまいます。
「倫理的にありえないと思えるような不祥事を、とある民間企業の社員の多くが起こしていた」といったニュースがときおり出ますが、そういう事件も、その組織にいることで獲得した認知のパターンによるものです。
参考: 「組織的盲点」、「確認バイアス」、「煮詰め効果」ほか
https://forum.pc5bai.com/tips/longshot/98b910e0-e7bc-4123-b1f9-b1417a62725b/
・制限ビリーフ:
人々が自らに対して、または外部の環境や他者に対して持つ制約的な信念。
これは、自らの可能性や機会を制限するものとして作用することが多いです。
例えば、「私には人前でしゃべることなどできない」「その業界は入り込みが難しい」「あの人はきっと私の提案を拒絶するだろう」といった思考がこれに該当します。
制限ビリーフは、過去の失敗や他者からの否定的なフィードバック、社会的なステレオタイプなど、さまざまな要因から形成されることが多いです。
このメールマガジンで都度示している「地図・気づき・選択・手順」というフレームワークで説明するならば、「メンタルモデル」とは、「地図」です。
人は、「世界とはこういうものだという思い込み」という地図に従って、自動的に世界を解釈します。この短絡的な解釈とは、「手順」です。
前々回、前回と今回と、「モデル」という言葉について、様々な角度から掘り下げてみました。
IT用語としての「モデル」も面白いですが、その元となった概念も興味深いですね。
「メンタルモデル」は、ITスキルの学習にも大いに影響します。
次回以降、このテーマに向けて書いていきたいと思っています。
- あなたにとって「モデル」とは、どういう意味の言葉でしょうか。
前々回から今回までの紹介事例等を踏まえて、あなた自身の言葉で説明してみてください。
こういう試みは、よい復習になります。
また、あなた自身の有する知の体系を強化してくれます。
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「モデル」って言葉をITの世界でよく見かけるけど、それって何?
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日常見かける「モデル」とIT用語の「モデル」、そこに共通する世界観
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2024年11月20日 21:41
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2024年11月20日 21:28
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2024年11月14日 17:04
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